綴れ名古屋帯 ウサギとカメ
今年の中秋の名月は明後日の10月4日です。実際に満月になるのは10月6日のようですが、綺麗な月を眺める事ができる日として昔から日本人の生活に根付いています。
松尾芭蕉は月の俳句を好み、多くの句を残したことで知られています。一番有名なのはやはり
「名月や 池をめぐりて 夜もすがら」
でしょうか。夜の空に浮かぶ月が池に映り、それに夢中になってしまい一晩中池の周りを歩いてしまったという意味です。松尾芭蕉の月に対する思い入れが伝わってきます。
この日は月見団子とススキをご用意される方も多いと思いますが、団子は15個の3段で一番下は9個、2段目が4個、一番上は2個が主流です。一番上の2個は正面から見て1個に見えるように配置します。昔は収穫への感謝の印として月に収穫物や稲穂をお供えしていましたが、江戸時代ぐらいより団子とススキに変化していったようです。(現代でもススキではなく稲穂をそのまま利用する地域もあるそうです)
さて今回の帯は「綴れ名古屋帯 ウサギとカメ」です。
イソップ寓話では両者はそれほど仲良く描かれておらず、戒めの対象とされるウサギですがこの帯のウサギとカメは満月を利用して仲良くサッカーをしています。ウサギのシュートをゴールキーパーのカメが止めるのか?それともゴールを決められてしまうのか?という所です。ウサギの生き生きとした表情と動き、カメの不敵な笑みがなんともいえない味わいを醸し出しています。
技術面では地は40枚綴れにウサギの部分は20枚綴れを組み込み、メリハリと立体感を演出しています。おタイコの月の部分は絽で織っています。お腹の月にはウサギの影をいれています。今の時期に最適の帯といえます。
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