

「美しいキモノ」最新号【2017年冬号】108ページ掲載帯のご紹介
今回ご紹介する帯は「綾錦、立涌華文(たてわくかもん)」です。 立涌とは波の線が向かい合い線対称に繰り返すことで表される文様です。「タテワキ」「タチワキ」とも呼ばれ、位の高い人の衣服や能装束にもよく用いられました。立涌の中に雲が入ると雲立涌文、桐が入ると桐立涌文と呼ばれるように様々なバリエーションも存在します。今回は立涌の中に華文が入っているので立涌華文というわけです。 華文は具体的な花ではなく抽象化した花を丸く文様化したもので、そのような形をしたもの全般をいいます。古くより織物や染め物に用いられており、現代でも風格のある文様としてフォーマル用の袋帯などに多く利用されます。 このように格が高く、重厚な二つの文様を組み合わせた立涌華文は紙面でご紹介頂いたように独身女性の第一礼装である振り袖にもぴったりです。 帯に関するご質問がありましたら、お気軽にメールにてお問い合わせください。 #雑誌掲載帯


◆おび弘の締め込み(まわし)を取り上げて頂いた大相撲相撲ガイド発売中です!◆
力士の締め込み(まわし)を織っているのは日本で3社だけですが手織りしているのはおび弘だけです。締め込みの経糸(たていと)の数は15,000本の糸が羽二重になっていて3万本あります。通常の帯は多くても4000本ほど。ただし帯は締め込みとは違い、複雑な柄や組織があるため、より繊細で丁寧な技術が求められます。逆に締め込みは無地のため柄を作り出す技術は不必要ですが、帯に比べて機の横幅が3倍ほど長く大きくなるので、緯糸(ぬきいと)を杼で通す力加減が大変難しく、また框(かまち)で打ち込む際、2段階の動作を求められ1回目は程よく、2回目を力強くというアンバランスな操作が必要です。重さ40キロもある框でこの作業を行うのは成人男性でも一度に30分が限界です。1本の締め込みを織り上げ次の締め込みを織る際は全ての経糸を次の経糸に、たてつぎしなくてはいけません。30000本もの経糸をつなぐ作業は丸1日から2日かかる大変な仕事です。 #メディア情報


「美しいキモノ」2017冬最新号70ページ掲載帯のご紹介
今回ご紹介する帯は「綴錦、六通有職横段」です。 平安時代以降に公家の装束や調度品に多く用いられた織物の総称を有職(ゆうそく)織物といいますがそこにつけられた紋様を有職紋様と呼びます。古典的かつ伝統的な格調が高いこの紋様は現代でも着物や帯の柄に広く使われます。正倉院紋様が日本の風土に合うように和様化したものでもあります。幾何学紋様を繰り返すように図案化されているため季節感なく用いることができ、年間を通じて利用できる古典柄といえるでしょう。代表的なものだけでも「七宝紋」「立涌紋」「亀甲紋」「菱紋」「小葵紋」など沢山あります。 この帯の一番の特徴は柄と金の無地がはっきりと分かれている所です。一見シンプルで織る事が簡単そうに思えますが、本金箔を引き、綾織りしている無地部分と、綴れ織りや綾織りが入り混じり、細かい柄がたくさんある柄の部分では、普通に織ると柄の部分だけどんどん縦に膨らんでいき、形が崩れてしまいます。しかしこれを織手の長年の経験と技術で、そうならないように織り進めます。一越の中に複数の異なる組織があるだけで織る難易度は格段にあがってしまうのです


「家庭画報」2018年2月最新号156~157ページ掲載帯のご紹介
今回ご紹介する帯は家庭画報様の特集“常盤貴子、美の頂点「辻が花」をまとう”にて常盤貴子さんに締めて頂きました「本袋絹式部、若松」です。 この帯はおび弘だけが織っている本袋の綴織りに若松の柄を大胆に配しています。若松紋は芽生えて間もない若い松を紋様化しており、新鮮で若々しいイメージを持たせます。新春はもちろん、様々な祝儀にふさわしい柄といえます。 松の紋様は「老松」「光琳松」「唐松」「笠松」など多岐にわたり、松葉を利用した「松葉紋」、「若松菱」、「松葉散らし」などを含めると膨大な数となります。松は日本の景観を構成するうえにおいて、もっとも大きな働きを担い、同時に神聖視する観念も日本人の心のなかで古くから育まれてきました。これだけ松の紋様が日本で発展したのは中国に比べ、日本ではめでたい樹木の代表として扱われてきたからでもあります。
振り袖、留め袖、袋帯はもちろん能装束、家紋にも多用されています。この時期に締めて頂くのにぴったりの帯といえるでしょう。 帯に関するご質問がありましたらお気軽にメールにてお問い合わせ下さい。 #雑誌掲載帯